「目的ベース会計」とは ~会計の本来の役割を取り戻す~

このシリーズの最終回として
税理士として経験してきた
泥臭いリアルをお話しします

綺麗ごとではなく
こういう苦労があったからこの仕組みを作った
という話です

興味のある方は
以下の項目を開いてご覧ください

申告期限が迫る中での妥協

 
 お客様から「入力が終わりました」
 と連絡をいただきfreeeの画面を開く

 交際費が大量に並んでいる
 でも「目的」は空欄

 添付ファイルを開く

 居酒屋のレシートだ
 なるほど交際費っぽいな

 次のファイルを開く
 また居酒屋

 また開く
 また同じ居酒屋

 短い期間に何度も何度も
 同じようなお店が出てくる

 これ本当に全部仕事に関係ある?

 確認したい気持ちはある
 でも申告期限が迫っている
 全部確認している時間はない

 そんな時どうしていたかというと

  前年から急激に増えてはいない
  同業者と比べて多いわけでもない
  お客様が交際費と言うなら交際費だろう

 そう自分に言い聞かせて
 妥協して申告を終える

 そんなことが何度もあった

マニュアルを渡しても機能しない

 
 勘定科目選びに慣れないお客様に
 マニュアルを渡したこともある

 でもうまくいかなかった

 月に1回、ましてや数ヶ月に1回しか
 会計ソフトを触らない方が
 時間が経って忘れるのは仕方がない

 しかもfreeeのUIが変わるたびに
 古いマニュアルが使えなくなる

 「マニュアルと画面が違うんですが・・・」

 そういう質問を何度もされた

 結局入力を後回しにされ
 申告期限の直前に
 数ヶ月分の目的のないデータがまとめて届く
 
 またか・・・
 と毎年のようにため息が出ていた

真面目な人が損をする

 
 知ってか知らずか
 この状況に付け込んでくる人もいる

 どうせ期限ギリギリに入力すれば
 税理士は一つ一つ確認できないだろう
 プライベートな飲み代も混ぜてしまえ
 指摘されたものだけ外せばいい

 そういう発想で
 経費を水増ししてくる人がいた

 一方で
 プライベートなものは絶対に入れない
 経費かどうか迷ったら外す
 そういう真面目な人もいる

 この2人を比べたとき
 真面目な人の方が多く税金を払っている

 税理士として
 ずっともどかしい気持ちがあった

税務調査で手帳をひっくり返す


 数年後に税務調査が来たとする
 
 調査官が過去の交際費を見て

 「この飲み代の目的を教えてください」

 と聞いてくる

 多くの場合
 手帳を取り出して
 当時のスケジュールを遡って

 「えーと、この日は確か…」

 と必死に思い出そうとする

 経営者は本業で忙しいのに
 その労力と時間を使わせてしまう

 目的が記録されていれば

 「A社との新規商談のためでした」

 と即答できる

 たったそれだけのことで
 税務調査がスムーズに終わるのに
 と何度も思った

経営の衰退を目の当たりに


 お金の使い方について
 税理士からも指摘されない
 税務調査にも入られない

 そういう状況が続くと
 経営者の財布の紐が少しずつ緩んでいく

 「どうせ経費で落ちるんだ
  今日も飲みに行くか」

 という感じで

 本来なら事業のために残すべきお金が
 気付かないうちに少しづつ消えていく

 もしここで
 目的を誰かに伝えなければならない
 という環境があったとしたら

 「この飲み代は本当に必要か?」

 と自問自答する習慣が生まれるのに

 そんなことを考えていた

こうした苦労を重ねる中で
あることに気づきました

税理士が知りたいのは勘定科目ではない

何のために使ったお金なのか?
それだけのはず

その情報を持っているのは
実際にお金を使ったお客様だけ

なのに
お客様には勘定科目という
慣れない翻訳作業をお願いして
税理士はその翻訳結果を見ながら
「目的は何だったんだろう?」
と推測している

これはおかしな構造ではないか

だったら
目的だけ教えてもらえれば
会計が回る仕組みを作ればいい

そのように考え
仕組みを根本から見直しました

つながる会計では
「目的」をキーワードに
自動登録ルールが動く仕組みを

「目的ベース会計」

と呼ぶことにしました

 AIがレシートから客観情報を読み取る
 お客様が目的を伝える
 税理士が自動登録ルールを作る
 自動登録ルールが一気に処理する
 ファイルの往復が不要になる

例えばお客様は

「A社との商談」

と目的を伝えるだけで

勘定科目やメモタグが自動で決まり
経営判断に役立つデータが溜まっていく

お客様は勘定科目を覚えることなく
本来使うべき時間を経営判断に充てられる

この流れが完成したとき
会計処理の常識が大きく変わりました

つながる会計のお客様の中に
毎月の会計処理に
8時間かかっていた方がいます

以前は慣れない会計ソフトの操作に苦しみ
勘定科目選びに疲弊しながらも
なんとなく入力作業を続けておられました

しかも
消費税の計算方法は原則課税
レシートの多くは消費税率8%と10%が混在
という手入力だと地獄の作業

それが今では
スマホでレシートの写真を撮って共有し
月に1回の税理士との面談の際に
何のためにお金を使ったのかを喋るだけで
30分にまで短縮できるようになったのです

ここまで時間が短縮できた理由は
主に次の3つだと考えています

①経営者の負担がなくなった

 慣れない会計ソフトのUIに翻弄されない
 勘定科目選びで手が止まらない
 目的を伝えることだけに集中すればいい

②税理士の往復作業がなくなった

 取引内容列に目的が入っているので
 ファイルを1件ずつ開いて確認する
 という無駄なクリックが激減した

③自動登録ルールが一気に処理する

 同じ目的の取引には
 同じルールが高速で適用される

 レシートの数が多くても問題ない
 人が1件1件手で入力しなくてよくなった

しかし
8時間を30分にすることが目的ではありません

大切なのは浮いた時間を何に使うか?

freeeの操作に悩む時間ではなく
数字を見て経営を考える時間に使う

それが「目的ベース会計」の本当の目的です

最後に考えてみたいことがあります

会計の本来の役割は何か?

 税金を計算するため?
 税務調査に備えるため?
 税理士の手間を減らすため?

それだけではありません

経営者が
その時何を考えて
どんな挑戦をして
何にお金を使ったのか

経営者自身の判断と歴史が
刻まれたアルバムなのです

目的が記録された帳簿にはこれらが残ります

それだけ価値があるものなのに

 会計ソフトの操作を覚える
 勘定科目を選ぶ

という手段に翻弄され
ただの義務的な記録になる

それではもったいなさすぎます

このシリーズの最初にこんな話をしました

カーナビの内部プログラムは理解しなくていい

地図を読んで目的地を判断することが
運転手の仕事だと

「目的ベース会計」が機能すれば
会計は経営の羅針盤になります

経営者の本来の役割は
数字を読んで経営判断をすること

税理士として
会計ソフトの操作に悩み
本来見るべき数字を見る余裕を失っている
そんな経営者を山ほど見てきました

会計の本来の役割を取り戻したい

そんな想いで作ったのが
「目的ベース会計」です

この仕組みはまだ完璧ではありません

仕組みを磨き上げるには
お客様のリアルな声が必要です

これからも
一緒に仕組みを磨いていけたらと思います

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