目的だけ教えて下さいと言われても
前回の記事では、お客様に対し
勘定科目は選ばなくていい
その代わり目的だけ教えて下さい
という話をしました
でも
目的目的って何がそんなに大事なの?
今まで目的なんて意識してこなかったし
税理士に聞かれることもなかったけど?
今回はそういった疑問にお答えします
目的が記録されていない帳簿が
後にどんな問題を引き起こすのか
税理士の目線でお話ししたいと思います
ファイルの往復が試算表を遅らせる
お客様から税理士に対して
「入力が終わったので確認をお願いします」
とご報告をいただき、freeeの画面を開くと
こんな場面に出くわします
「あれ、交際費の内容が分からない・・・」
確かに日付や金額、勘定科目は入力されている
(作業を終わらせるための最低限の情報はある)
しかし、支払先名や目的は未入力のまま

内容を確認するために詳細ボタンをクリックして
添付ファイル(レシートなど)を見る

「なるほど、居酒屋で飲んだのね」
「確かに交際費っぽいな」
と確認してファイルを閉じる
次の処理を確認するために
添付ファイルを開いて確認して閉じる
添付ファイルを開いて確認して閉じる
・・・・・
いつまで続くの・・・
このファイルの往復作業が
入力件数分だけ発生するのです
1件なら大した手間ではありませんが
これが50件100件と増えてくると
この往復作業だけで膨大な時間がかかります
その結果、税理士のチェックが遅くなり
試算表の作成が遅れてしまうのです
「今月の数字を早く見たい」と思っても
リアルタイムに業績を把握することが
実質的にできなくなってしまいます
余計な疑念が生まれる
ファイルの往復作業をしている際中に
税理士の頭にこんな疑念が生まれます
「この居酒屋のレシートしょっちゅう見るな」
「本当に全部仕事に関係あるのかな?」
「もしかしてプライベートな飲み会じゃない?」
実際は取引先の接待目的かもしれません
このように
目的が分からないということだけで
正当な交際費にも疑いの目が向いてしまうのです
指摘すべきか悩む税理士の苦悩
税理士は疑念が浮かんだからといって
全ての居酒屋のレシートについて
「この飲み会は誰と何の目的で行いましたか?」
といちいちお客様に問いかけることはしません
交際費が多いな
ちょっと疑わしいなと思っても
「指摘すると気分を害さないかな?」
「同業者と比べると多くはないしな」
「前年と比べて急増はしていないしな」
などと思考を巡らせ
結果的に
「お客様が交際費と言うなら交際費だろう」
と妥協することもあります
本来は1つ1つ目的を確認すべきですが
お客様や税理士が多忙だったりすると
目的の確認が不十分なまま申告が終わることも
珍しくありません
税務調査で説明を求められる
そして数年後に税務調査が行われたとします
同じ居酒屋のレシートを見て
調査官も税理士と同じように疑念を持ちます
もし調査官に
「この飲み会の目的を教えてください」
と聞かれたとき
「取引先のA社を接待するためでした」
など

調査官が納得する
客観的な説明が求められるのです
そもそも数年前の飲み会の目的を
今すぐ答えられますか?
すぐに答えられない場合は
調べて返答することになります
でも・・・
思い出せない
実はプライベートな飲み会だった
どうやって言い訳しよう・・・
と余計なストレスがかかってしまうのです
この余計な時間とストレスは
目的を記録することで防げるものなのです
税務調査で見過ごされることも
ただし調査官も人間であり
限られた時間の中で調査を進めます
同業者と比べて交際費が多くないか
前年から急激に増えていないか
などと当たりをつけて
問題がなさそうなら見過ごされたりもします
しかしこれは
効率よく調査するための妥協策にすぎません
指摘されなかったからといって
入力が正しかったわけではありません
たまたま見過ごされただけで
目的のない支出は
いつ指摘されてもおかしくない状態が
続いているのです
財布の紐が緩んでいく
目的が記録されない弊害は
試算表の遅れや税務調査など
目に見えるものだけではありません
税理士にも指摘されない
税務調査でも質問されない
このような状況が続いてしまうことで
お金の使い方がルーズになります
人は一度身に付いた習慣や癖を
簡単には元に戻せないようになっています
「今日も飲みに行くか」
「どうせ経費になるんだし」

といった感じで
手元に残しておくべきお金にまで
手を付けてしまうのです
こうなると
気付かないうちに
じわじわと事業が衰退していきます
経営判断にも使えない
目的が記録されていない帳簿は
経営判断にも使えません
採用広告の効果はあったのか?
このプロジェクトでいくらか儲かったのか?
この事業からは撤退すべきか?
勘定科目を記録するだけでは
こういった振り返りができません
目的が記録されていれば
例えば「採用目的の費用」と検索すれば
勘定科目が広告宣伝費か研修費かに関わらず
採用目的でいくら使ったのかが一目で分かる
そんな経営分析もできるようになるのです
目的を記録することの本当の意味
目的を記録して欲しいのは
税理士が楽をしたいからではありません
目的がきちんと記録されていれば
・試算表をリアルタイムで確認できる
・税務調査に堂々と臨める
・経費の感覚が自然と鍛えられる
・経営判断に使える数字が生まれる
これがつながる会計が目的にこだわる理由です
目的を記録することの大切さは分かった
でも
「全部の支払いの目的を記録するのは
それはそれで大変なんじゃないの?」
そう感じた方もいるかもしれません
いくら大切なことでも
続けられなければ意味がありません
次回は
目的をどうやって効率よく記録すればいいのか
その具体策についてお話しします
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